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7月も5册。少なめです。
「論語」金谷治譯注 岩波書店(岩波文庫)※古本 ●今年6月初め「これはまさに論語讀みの論語知らずといふべきではなからうか」といふ人をお見かけし、ところが自分は今迄論語を讀んでゐなかつたことに氣がついて、ややあわてて讀みました。 孔子樣の教へには、いちいち納得出來て、流石にいい本だなとは思つたのですが、やや具體性を缺くきらひがあります(孔子樣は學問をさかんに勸めますが、どんな學問をすればよいのか、といふことについては詳しい記述がそれ程ない)。また究極の愛としての「仁」を持ち出されても、はたしてそんなことが人間に可能なのか、疑問が殘ります。 いい本を讀んで感動するのは結構なことです。しかしそれに感動し、いろいろと吹聽してゐるうちに、かういふ本に感動することの出來る自分は偉いんだ、と思ひ込んでしまふのは、まづいことだと思ふのです。特に論語を讀んでさうなつたのならば、謙虚であることを推奨してゐる孔子樣の考へにも結果的に背いてしまふことになると思ふのですが、どうでせう。 「日本語対談」岩淵悦太郎著 筑摩書房※古本 ●岩淵悦太郎先生が、樣々なジャンルで「言葉」を考へてゐる人々16氏と語り合つた對談集です。だらだらと讀んでゐた爲、讀了迄にすごく時間がかかつてしまひました。 この手の本は、對談相手によつて出來・不出來があるやうに見えてしまうのが惜しいところです。岩淵先生はホスト役として優れてゐる感があり、それが爲に逆に對談相手に話を合はせてしまつてやや矛盾したこともおつしやつてしまつてゐます。 書き言葉より話し言葉のはうが重要である、あるいはその逆ではなく、話し言葉も書き言葉も、それぞれが使用されるシーンで、それぞれに重要なのではないでせうか。ですから、最後の桑原武夫氏との對談で、桑原氏に引つ張られて「文字で書いたものは、音聲で表現する言語を引き出す手がかりになるだけのもんだとわたしは思つてゐるんですよ」(370ページ)と言つてしまつたことには、少しがつかりです。 最終章ではややがつかりさせられますが、臼井吉見氏・石井庄司氏・中野重治氏各氏との對談邊りの、國語教育に道徳教育や文學教育を變に取り付けるなといふ提言には納得させられますし、大島功氏(聾教育)・木塚泰弘氏(中途失明、この本によると日本點字委員會委員)との對談も、障碍を持つ方々の言語獲得に關する興味深いものです。 「本気で言いたいことがある」さだまさし著 新潮社(新潮新書)※再讀 ●あまりにも本を讀んでゐないので、ずるい數合はせのつもりで再讀したのですが、やはりさださんは日本を本氣で心配していらして、讀み終つた後また少し考へ込んでしまひました。 「ストリング理論は科学か」ピーター・ウォイト著 松浦俊輔譯 青土社 ●現代の素粒子物理學は、10ないし11次元空間内の「ひも」のやうなものの運動によつて現象をモデル化する「(スーパー)ストリング理論」に沿つて研究が進められてゐるさうです(と、このやうな書き樣を見れば、私がスーパーストリング理論についてあまり深く理解をしてゐないことがあきらかです)。しかしこの理論は、現象に對しての豫測を行ふことが出來ず、科學の「理論」とは言へないのではないか、と著者は言ひます。 私には數學や物理學の素養がないので、この本の全てを理解することは當然出來ませんでした。しかし、20世紀から現代迄の素粒子物理學の發展、特に加速器の開發史について、アウトラインが概觀出來るなかなか興味深い本でした。著者は親切で、難しいところにさしかかると「○○は○○だつたことを思ひださう」といふ文を適宜差し挾み、振り返つて讀み直すことを讀者に促します。これが文章のリズムになつてをり、よく判らない乍らも、がんばつて讀み進んでいかう、といふ氣にさせてくれます。 ストリング理論に今後の可能性は本當にないのか、といふことについては、門外漢の私には判りません。ただなんとなく、我田引水ですけれども、既成事實化したストリング理論が他の研究を妨げてゐる樣には、新かなづかい/歴史的かなづかひの關係を思ひ起こさせるやうなところが、私にはありました。 「ホームズ贋作展覧会」各務三郎編 河出書房新社(河出文庫)※古本 ●シャーロック・ホームズとワトソンの冒險譚の魅力は、自分でもそれを書きたくなつてしまふ、といふところにもあるのかも知れません。この本は、ホームズの物語を元ネタにした作品—所謂「バーレスク」と呼ばれるものでせう—9編を收録したものです。 このやうな作品の場合は、ホームズ・ワトソン冒險譚のフォーマットを忠實に踏襲したもののはうが面白い、といふことが、この本を讀んで判りました。ですからアーサー・ホイティカー、ヴィンセント・スターリット、スチュアート・パーマー迄は面白いのですが、その後は少し疑問の作品が竝ぶといふをかしな作りの本です。クリストファー・モーリーの作品は、考證的で文の切れ味もよい好感の持てる短編ですが、ホルメジアン以外には少しとつつきにくいかも知れません。アガサ・クリスティー作品は、ホームズ氣取りの若い探偵が主人公の、やや輕い作品ですが、ワトソン役が女性でしかもチャーミングなので許さう。トリックも、なかなかしつかりしてゐるやうです。オーガスト・ダーレスの作品は、ホームズものとして非常にしつかりと書かれてゐるのに、何故か探偵の名前が「ポンスさん」になつてゐるのが惜しいところ(何か事情があつたのかも知れませんが)。アンソニー・バウチャーの小品は、ひどいSFです。これはつまらなかつた。またW・ハイデンフェルトの作品は、あんな底の割れた解決方法をしては駄目です。最後はマーク・トウェインで、これはホームズものの範疇からはやや外れてゐるかも知れませんが、流石に小説としてはこれが圖拔けてよく出來てゐて面白かつたです。
by gcsc
| 2008-08-03 13:40
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